アスベスト(石綿)とは?

アスベストは天然に産出される鉱物で、「石綿(いしわた/せきめん)」とも呼ばれています。 破砕や加工により容易に長く細く柔軟で強い繊維に分離する石綿様形態 (asbestiform)へ結晶化した蛇紋石と角閃石に属する特定のけい酸塩鉱物をさす鉱物学的総称。 クリソタイル(Chr)、アモサイト(Amo)、クロシドライト(Cro)、 トレモライト(Tre)、アクチノライト(Act)、アンソフィライト(Ant) の6種類があります。

石綿名 化学組成式
蛇紋石族 クリソタイル(温石綿・白石綿) Mg3Si2O5(OH)4
角閃石族 クロシドライト(青石綿) Na2(Fe2+,Mg)3(Fe3+)2Si8O22(OH,F)2
アモサイト(茶石綿) (Mg,Fe)7Si8O22(OH)2
アンソフィライト(直閃石綿) (Mg,Fe)7Si8O22(OH)2
トレモライト(透角閃石綿) Ca2Mg5Si8O22(OH)2
アクチノライト(陽起石綿) Ca2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2

アスベストの種類と特徴

クリソタイル(白石綿)
蛇紋石族に属しており、アスベスト全体の約95%を占めています。

アモサイト(茶石綿)
角閃石族に属しています。

クロシドライト(青石綿)
青色の見た目をしており、毒性が高いです。

トレモライト石綿
不純物として含まれており、主に吹付けアスベストとして使用されました。

アクチノライト石綿
不純物として含まれており、緑色の見た目をしています。

アンソフィライト石綿
不純物として含まれており、耐薬品性が高いです。

アスベストの種類

アスベストの特性

  1. 他の無機または有機繊維に比べ著しく細い(通常、細い繊維幅の大きさは約1~2μmである。)
  2. 耐熱性が高い(通常、有機繊維、ガラス繊維等よりも高い耐熱温度である。)
  3. ピアノ線より抗張力が大きく、しなやかである。
  4. 石綿種類にもよるが、耐薬品性および耐アルカリ性に優れている。
  5. 他の有機繊維に比べ吸湿・吸水性は小さい。
  6. 環境中において、半永久的に分解・変質せず安定である。
  7. 絶縁性、耐摩耗性、防音性、吸湿性、安定性:他の繊維に比べ優れている。

このような事からアスベストは耐熱性、耐薬品性、絶縁性などの特性を持ち、安価な工業材料として建設資材、電気製品、自動車、家庭用品等様々な形で利用されてきました。しかし、その繊維が極めて細いため、大気中に飛散したものを吸い込みやすく、肺がんや中皮腫、アスベスト肺(肺の慢性線維症)の原因となります。現在は原則使用が禁じられています。

蛇紋石族 角閃石族
クリソタイル クロシドライト アモサイト アンソフィライト トレモライト アクチノライト
硬度 2.5~4.0 4 5.5~6.0 5.5~6.0 5.5 約6
比重 2.4~2.6 3.2~3.3 3.1~3.25 2.85~3.1 2.9~3.2 3.0~3.2
比熱 0.266 0.201 0.193 0.210 0.212 0.217
抗張力
(kg/m2)
30,000 35,000 25,000 2,800 70~560 70
ろ過性能 遅い 速い 速い 中間速 中間速 中間速
溶解点 1,521℃ 1,193℃ 1,399℃ 1,468℃ 1,316℃ 1,393℃
紡糸性 不良 不良 不良
柔軟性 不良 不良 不良
耐熱性 優秀
耐酸性 弱い 強い 極めて強い 強い
耐アルカリ性 極めて強い 強い 強い 強い 極めて強い 強い
分解温度※ 450~700℃ 400~600℃ 600~800℃ 620~960℃ 600~850℃ 950~1,040℃

※脱水反応を起こし、結晶構造が崩壊して強度を失う温度をいう。
出典:大気中発がん物質のレビュー石綿- S55.3

アスベストの規制年表

施策・出来事
1971年 大気汚染防止法の施行: アスベストは特定粉じんとして規制。
特定化学物質等障害予防規則の制定: アスベストの製造・取扱いに関する規制強化。
1972年 労働安全衛生法の制定: アスベストばく露防止対策強化。
1975年 特化則の改正: 5重量%を超えるアスベストの吹き付け作業を原則禁止。
1989年 WHOがアスベストの使用禁止を勧告。
1995年 クロシドライト(青石綿)とアモサイト(茶石綿)の製造・輸入・使用禁止。
1重量%を超えるアスベスト含有製品の規制強化。
2002年 石綿代替化等検討委員会の設置。
2004年 1重量%を超えるアスベスト含有建枤10品目の製造・輸入・使用禁止。
2005年 「クボタショック」を受け、アスベスト全面禁止の方針を表明。
労働安全衛生法改正。
2006年 0.1重量%を超えるアスベスト製品の製造・輸入・使用禁止。
石綿障害予防規則(石綿則)施行。
2007年 大気汚染防止法改正: 特定粉じん発生施設におけるアスベスト排出規制強化。
それまで使用されていなかったトレモライトが見つかり、「トレモライトショック」が発生し社会問題となる。
2012年 アスベストの使用が完全に禁止。
2022年 事前調査、分析結果、作業状況の記録、計画届けの対象拡大
特定の石綿除去工事の労働局の届出
石綿の有無の事前調査結果の報告が義務化。アスベスト除去作業の規制強化。
2023年 石綿障害予防規則(石綿則)改正: 呼吸用保護具の選択方法の見直し等。
事前調査、分析調査の資格要件新設
2026年 工作物石綿含有建材調査者に関する規制が予定。
アスベスト規制の歴史

アスベストが入っていいる可能性がある場所

アスベストは様々な建材に使用されてきました。特に1970年代から1990年代にかけて建てられた建物には、アスベストが含まれている可能性が高いです。主な使用箇所は以下の通りです:

アスベストの調査依頼、撤去は誰に依頼するの?

建物を解体する時、解体業者に依頼すると思います。またリフォームなどをするときは、工務店やリフォーム会社に依頼すると思います。

その際に設計図書などの書面による調査及び現地での目視による調査を行い、アスベストの事前調査をします。事前調査をする人は建築物石綿含有建材調査者講習の修了者が行うことが義務付けられています。

依頼した会社に建築物石綿含有建材調査者講習の修了者が居た場合、その会社がアスベストの事前調査をしますが、万が一、依頼した会社内に建築物石綿含有建材調査者講習の修了者が居なかった場合は、解体業者や工務店が連携しているアスベスト会社に依頼することになります。

また事前調査において石綿の含有の有無が不明の場合は、分析調査を行います。分析調査とは、アスベスト含有が疑われる建材を、3cm角程度でナイフやのこぎりなどで切り出し、ビニール袋等に梱包します。

梱包したものを分析調査機関に送付し、アスベストの有無を検査します。検査後、分析機関から調査結果の記載された文書が届きます。分析調査には、1か所辺り3万~5万ほどの費用がかかります。

アスベストが入っていた場合、費用相場はいくら?

アスベストの除去費用に掛かる費用は

によって費用が異なります。

少し古いデータとなりますが、国土交通省が2007年1月から2007年12月における施工実績データに基づいた相場を公開しています。

アスベストの撤去に使える補助金はある?

補助金は、国ではなく自治体ごとに出ています。自治体によって補助金が出ているケース・出てないケースがあり、自治体によって条件が異なります。市役所に電話したり、「○○市 アスベスト 補助金」と調べると自治体のホームページが出てきますので、条件を確認しましょう。

補助金では、アスベスト分析調査の補助金とアスベスト除去にかかる費用の補助金の2つがあります。例えば、次のようなものです。

まとめ

現在の法律では、アスベストの有無について工事前に調査を必ず確認する必要があります。そこで、アスベストが建材に使われているかはそこで明らかになります。

ご自身でアスベストの有無を確認するのではなく、資格を持った者に検査を依頼しましょう。またアスベストが含まれていた場合、金額が高くなります。

解体の見積時には上記のような点を踏まえて、予算などの計画に影響が出ることを防ぐために早めに見積もりを取っておくことをお勧めいたします。